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この傾向に拍車をかけたのが資本・証券市場の発達であり、大手企業をはじめ実力のある企業は直接金融市場から増資や社債発行などで資金を調達するに至った。
さらに国際会計基準の導入により時価主義が採用され、従来から資金効率が悪いといわれていた株式持合い制が廃止された。
こうした動きの中で銀行から経営再建の名で派遣される社長・役員をはじめとする人材派遣も急速に少なくなっていった。
さらにこの傾向は、企業が従来のグループや関連企業の枠を乗り越えて、M&A旋風に乗ってその生き残りのため統廃合を繰り返してきて、メインバンク制もまた大きく揺れ動いた。
この崩壊するメインバンク制の中で再編成した6大銀行グループは、自行の企業グループの拡大と国際黄争力を強めるため取引先のメイン化を進めている。
銀行側がメイン先と判断している取引先に対しては、銀行機能をフルに活用してその取引の拡大を図っているものの、力のある中小企業の中には押付けの金融商品やサービスの売り込みに反発しているところも少なくない。
このように融資という商品をバックにしての従来通りのメインバンクの威光は時代の変化の中で急速に衰えていった。
一方、中小企業にとっては、数多くあった大手行が6大銀行グループに統合されたため、かつてのメインと準メインが一つになったり、資金調達先としての銀行の数が少なくなったり、その特色を失ってきたため、信頼のおけるメインバンクが少なくなったと戸惑いを感じる向きも少なくない。
その意味でも頼りになるメインバンクの選択とその的絞りが極めて大事なポイントとなったのである。
従来は資金調達のパイプが太かったのがこの6大グループへの統合の中でそのパイプが極めて細く狭くなったと嘆いているのが利用者側の偽らざる気持ちである。
中小企業が望むメインバンクの姿とは第1は、ラスト・リゾート機能である。
最も現実的な期待としては「企業が困っている時にタイミングよく気軽に融資してくれる」ことだ。
第2は、シグナル機能である。
その銀行をメインバンクとして取引をしていること自体が、自分の企業にとって取引先や消費者などに対して大きな信用力となる役割である。
第3は、モニタリング機能がある。
銀行側は貸出に際して、各方面からチェックし、経営の改善を促すことがある。
特に中小企業の場合は個性の強いオーナーが多く、時折経営が暴走したり、乱脈経理に陥ったりすることがある。
これに対する歯止め役としての役割がある。
第4は、インフォメーション発信機能がある。
金融機関は、日々刻々変わる経済や金融情勢、将来の見通しなど企業経営に関するさまざまな情報を発信し、それをもとにしてアドバイスしてくれる役割がある。
こうした中小・中堅企業の期待に対して、メインバンクはいま十二分に応えていない。
応えていないどころか長年のメイン先に対しても業績が悪化したとして貸し渋りや貸しはがしの対象にするところもある。
そして最近特に、融資シェアに上位を占めるメインないし準メイン銀行がリーディングバンクとしての地位を自ら降りる現象が見られる。
まさに空気の読めないKY現象に陥っているということであろう。
常に他行の動きを気にするのは銀行業界の常であるが、その内情は企業の業績が金融危機・不況の長期化の中で悪化をたどっている中、できるだけ他行の動きを掴んで自行だけは損失発生やリスクを少なくしようとしている。
銀行によっては他行の動向を直接その銀行に打診せず、当の取引先からの話を通じて情報収集するところもある。
こうしたメインや準メインの融資姿勢を見て「メインバンクは頼りにならない」という思いを抱いている中小企業も多い。
この動きの中で企業によってはメイン・準メインなどの差別をなくして金融機関とは業態別(メガバンク、地銀、第2地銀、信金及び政府系金融棟関等)に金融機関を選別して集中化を避けるところも出てきた。
今や金融機関側が中小企業を選別する立場から一転して中小企業自体が頼りになる銀行、頼りにならない銀行を選別するという新しい時代に入ったのである。
官から民への官僚の天下り問題が話題になり、その制限や禁止が一般社会から求められているが、金融界は天下りや渡りの温床となっている。
借り手の中小企業にとっては一見無関係に見えるが、注目すべき問題を秘めている。
天下り・渡りが生じる背景その間題とは、金融当局である金融庁が、銀行経営に関する許認可権を持ち、法令違反や図表11の通り早期是正措置の枠を超えると銀行に対して業務改善命令を下す権限を持っていることだ。
ケースによっては頭取はじめ経営陣そのものの退陣や交代をも暗に求める。
至近のケースでは、金融庁は平成モラトリアム法案ともいわれる「中小企業金融円滑化法案」の実施に伴い、実際に借り手の返済猶予の申込みに対して真剣に貸付条件の変更を行うよう、その努力義務などを課し、また実施状況を定期的に開示するように求め、虚偽の開示をした場合には罰則を科すなどの権限を持つことにした。
こうした強力なる指導と監督権限を持っている金融庁や財務省から金融界は多くの天下り・渡り組を受け入れている。
銀行経営者の中には「泣く子と地頭には勝てない」と最初から諦めて金融庁をはじめとした官庁からごく自然に天下りを受け入れてきた経緯がある。
そこには過去の遺物ともなった護送船団方式の経営、銀行不例の神話があるが、天下りを受け入れることの安心感、もたれあい体質が依然として残っている。
金融界への天下りは金融庁や財務省、あるいは日銀だけとは限らず、地銀をはじめ地域金融機関には大手メガバンクからの天下り組も多い。
その方式を見ると図表日の通りである。
第1は、ローテーション方式である。
監督官庁である金融庁が自己資本比率の基準を下回った金融機関に対して業務の改善を図るために発動する命令いったん、役員ないし幹部として天下ったポストは絶対離さず、指定席化している。
役員定年制でポストを去る人の後釜には必ず同じ官庁テーション通りの天下りシステムである。
第2は、セット方式である。
このケースは役員だけでなく顧問、スタッフとしてセットで数人送り込まれるものである。
国際業務、証券業務など特定分野にその専門的な知識やキャリアを買われ就任するのが大半だが、2、3人のグループでチームとして天下ってくるケースもある。
第3は、経営監視・再建方式である。
経営再建及び監視の役割として当然のように天下ってトップなどに就任するケースである。
こうした人達の中には、頭取を一定期間務めた後会長等の就任を機に業態別団体のトップに座る人もいる。
天下り・渡り制度の弊害第1は、役員の一定数が天下り組の指定席化し、ローテーション化するのを長年見ているため生え抜きの幹部・行員が上昇志向を失い、モラールダウンする。
さらに悪いことは銀行役員を役員定年制によって退職した後も渡りと称して関連会社のトップ等に就任するケースである。
関連会社の社員はこうした渡り組に加えて本体の親元の銀行からも旧役員や幹部が役員として下ってくるので、生え抜き組の役員昇格という出世のチャンスはほとんどない。
モラールダウンは極めて著しい。
第2は、天下り組の行動は当の銀行経営よりも専ら出身官庁や団体の意向を気にし、常に生え抜きの行員を見下す姿勢を取る一方、肝心の金融庁の検査や日銀の考査等に対しては介添役にすぎず、責任を持って問題を解決し、事態を打開しようとする人物は少ない。
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